なんでも音楽レビュー

音楽好きの凡人。アルバムの総評と1曲ごとの感想をメインに書いています。多くの曲を聴いたり書いたりして、隠れた名曲を発掘したい。「ここのメロディ良い!」とか「有名だけど私的には...」みたいな感想をメインに書くので、読んでくれた人が新たに良曲と出会ったり、少しでも共感してくれたら嬉しいなと思います。

【アルバムレビュー】A Day at the Races(邦題:華麗なるレース)

【作品概要】 

・タイトル:A Day at the Races(邦題:華麗なるレース)

・アーティスト:Queen  

・リリース年:1976年     

・収録曲:10曲/44:24

 

【総評】★★★★☆

  Queenの5thアルバム。

 3rdアルバムから多種多様な楽曲を詰め合わせる手法をとっているQueenですが、本作についてもそれを継続している印象です。ただ豪華絢爛だった前作と比較するとやや落ち着いた印象で、1,2,3と薄味な曲が連続している点がややマイナスです。

 それでも4以降には出来の良い楽曲が並んでおり、4,6,8,10などタイプの異なる名曲たちが収録されているのが素晴らしく、クオリティ自体は相変わらず高いアルバムと言えるでしょう。

 

【各曲レビュー】

1:Tie Your Mother Down/★★★☆☆

オープニングを飾るブライアン作のロックナンバー。シンプルなギターリフが格好良いです。ただ歌メロが軽く間奏部も淡々とした感じなので、曲全体としては少し弱い印象です。

 

2:You Take My Breath Away/★★☆☆☆

初っ端のコーラスが美しいフレディ作のバラードナンバー。これも悪くはないんですけど、私の好みからは外れるんですよね。ピアノとコーラスが8割と言える曲で美しいんですけど、淡々とした感じで個人的にはイマイチなんですよね。

 

3:Long Away/★★★☆☆

ブライアンが作詞作曲ボーカルを担当したポップナンバー。ギター、ボーカル共に暖かみのある雰囲気を纏っています。これも良い曲なんですけど、もう少し盛り上がりがほしいところ。

 

4:The Millionaire Waltz/★★★★★

フレディによるワルツ→ロック→ワルツと変則的に展開する名曲。ロックパートで「come back tome~」と歌われる箇所は高揚感があって良いですね。また序盤はテンションを抑えめにして、終盤のワルツパートでお馴染みのコーラスやギターを重ねることによって、ドラマチックな仕上がりとなっているのが素晴らしいです。

 

5:You And I/★★★★☆

ジョン作曲の爽やかなポップナンバー。序盤は軽やかなメロディーが続きこのままさらっと終わると思いきや、中盤ドラムの音が大きくなる場面から盛り上がります。特に間奏パート前の「But will we be together forever?」のボーカルがエモーショナルで良いですね。

 

6:Somebody To Love/★★★★★

フレディによるゴスペル調のコーラスとロックが融合した名曲。ボーカルとコーラスの絡みがかなり複雑で、個性的なボーカリスを3人も有するQueenならではの技と言えるでしょう。元来Queenが持つポップでドラマチックな要素と他ジャンルの要素を両立できているのが凄いです。フレディが天才と言われる所以は、こういうところにあるんでしょうね。

 

7:White Man/★★★★☆

ブライアン作のハードロックナンバー。ドラマチックな要素を抑え、かわりに硬派な音作りで攻めてきた印象です。その中でもラストサビ後に聴けるブライアンのヘヴィで荒々しいギターソロが最高ですね。ドラムとの絡みも抜群で滅茶苦茶格好良いです。

 

8:Good Old Fashioned Lover Boy/★★★★★

フレディ作のポップナンバー。懐かしい香り漂う高品質な歌謡ロックと言えるでしょう。また歌メロの他にギターソロも良いですね。緻密に音を組み立てて作られたリズミカルなソロといった感じで、短いんですけと聴き応えがあります。

 

9:Drowse/★★★☆☆

ロジャー作の浮遊感が漂う不思議な雰囲気の曲。ブライアンのギターリフとロジャーのなんとも形容しがたいボーカルによって独特な空気感が形作られているように思います。目を閉じて音に身を任せるように聴く不思議とリラックスできます。

 

10:Teo Torriatte (Let Us Cling Together)/★★★★★

ブライアン作の英語と日本語が混在するバラードナンバー。終始ダークな雰囲気が支配する中に一筋の光が差し込む_そんな印象のバラードですね。前述のとおり、サビ前のピアノに載せて歌われるメロディが美しいんですけど驚くほど暗いです。その分2番サビ後の「When I'm gone~」の部分で一気に盛り上がります。そしてラストのサビの大合唱に入る頃には、思わず泣きそうになります。このように静から動への運びが見事でラストを飾るに相応しい完成度を誇っていると言えるでしょう。

 

・作詞作曲:Freddie Mercury 1976年A Day at the Races収録のThe Millionaire Waltz、You And Iより歌詞を引用

・作詞作曲:Brian May 1976年A Day at the Races収録のTeo Torriatte (Let Us Cling Together)より歌詞を引用