なんでも音楽レビュー

音楽好きの凡人。アルバムの総評と1曲ごとの感想をメインに書いています。多くの曲を聴いたり書いたりして、隠れた名曲を発掘したい。「ここのメロディ良い!」とか「有名だけど私的には...」みたいな感想をメインに書くので、読んでくれた人が新たに良曲と出会ったり、少しでも共感してくれたら嬉しいなと思います。

【アルバムレビュー】News Of The World(邦題:世界に捧ぐ)

【作品概要】 

・タイトル:News Of The World(邦題:世界に捧ぐ)

・アーティスト:Queen  

・リリース年:1977年     

・収録曲:11曲/39:30

 

【総評】★★★☆☆

 Queenの6thアルバム。

 前作まで多用していた多重録音による煌びやかなコーラスが激減したため、本作はかなりシンプルに感じました。その中でも充実した歌メロやギターソロが印象的な1,5、バンドとしての一体感が素晴らしい7,10、フレディの歌唱力をフルに活用したバラード2,11は十分名曲と言えるでしょう。

 反面大人しめな8,9など薄味であっさりしすぎな曲も多いため、もう一工夫して興味をそそられるように仕上げてほしかったところですね。

 個人的には好き嫌いがはっきり分かれてしまった本作ですが、質が高い曲も多く、良作だと思います。

 

【各曲レビュー】

1:We Will Rock You/★★★★★

足踏み・足踏み・手拍子のリズムを多重録音し、ドラム代わりにするという独特の手法が採られたロックナンバー。使われている楽器数が少なくシンプルな反面、野太いコーラスやギターソロなど1つ1つのインパクトが強い印象です。どっしりした感じとノリの良さが共存している点も素晴らしく、これまでのQueenには無かったタイプの名曲と言えるでしょう。

 

2:We Are The Champion/★★★★★

1と同じくQueenの代表的なロックナンバー。バラード調の静からドラマチックな動への盛り上がりが秀逸な1曲。特に1番サビでファルセットを使用していたメロディを2番では力強い地声で歌唱しているんですけど、ここの高揚感が素晴らしいですね。フレディの歌唱力を目一杯活かした名曲と言えるでしょう。

 

3:Sheer Heart Attack/★★★☆☆

ロジャー作曲のロックナンバーですが、個人的にはまあまあかな。サビメロがイマイチなのとボーカルが引っ込んだ感じで迫力不足な点がマイナスですね。ブライアンのザクザク切り込むようなギターリフが格好良かっただけに、ややもったいない印象です。

 

4:All Dead, All Dead/★★★☆☆

ブライアンが作詞作曲ボーカルを務めたバラードナンバー。静かに粛々と進行するタイプの曲ですが、間奏のピアノとギターの絡みが美しくて良いですね。個人的には大人しすぎるような感じも受けますが、良い曲だと思います。

 

5:Spread Your Wings/★★★★★

ジョン作の情熱的なロックバラード。Queenにしては珍しくコーラスが入っていませんが、フレディの力強いボーカル1本でぐいぐい引っ張っていく印象です。メロディも全体的に良く、特に間奏前の「Wishing he was miles and miles away」で叫び気味に歌われる部分やサビの「Pull yourself together 'Cos you know you should do better」の少し寂し気に歌われる部分など挙げればきりがありません。またギターの全体的に泣きを発散したようなプレイも良いですね。1,2の陰に隠れがちですが、個人的にはドストライクの名曲です。

 

6:Fight From The Inside/★★★☆☆

ロジャー作の骨太ロックナンバー。全体を通してブライアンのヘヴィなギターリフが格好良いですね。ドラムやベースとの相性も良く、どちらかというと楽器隊の音を追いたくなる曲です。歌については、「Uh~」の部分がイマイチなのとエコーをかけている箇所がダサく、ややマイナスの印象。

 

7:Get Down, Make Love/★★★★☆

独特の雰囲気を纏った実験的なナンバーで、イントロ及びAメロの演奏は必聴です。ベースリフとピアノを軸にギターやドラムさらには効果音など自由自在に音を継ぎ足して作られた印象で、月並みですがセンスが凄いなと感じます。またサビでしっかり盛り上がるのも好印象です。効果音塗れで強引な間奏が玉に瑕ですが、それを除けば完成度は高いと思います。

 

8:Sleeping On The Sidewalk/★★☆☆☆

ブライアンが作詞作曲ボーカルを担当したゆるゆるナンバーで、かなり脱力した雰囲気です。さらっと聴けてしまう感じですが、個人的には心に留まる部分が無くイマイチな印象です。

 

9:Who Needs you/★★☆☆☆

アコースティックギターを使用した可憐な雰囲気の曲。これも歌いだしとかは結構良い感じなんですけど、それ以外だとメロディーにフックが無いため今一つ。8と同じく一工夫欲しかったところ。

 

10:It's Late/★★★★★

ブライアンが作詞作曲を担当したドラマチックなロックナンバー。フレディの力強い歌声とコーラスが絡むサビが絶品で、特に2番「I've been wrong, but I'll learn to be right」での絞り出すような歌声が滅茶苦茶好きです。また曲自体も6分半と長いですが無駄が無く、徐々に加速していく間奏部の展開やラストで炸裂する圧巻のドラムロール等細部まで作りこまれている印象で、最初から最後まで隙のない名曲と言えるでしょう。

 

11:My Melancholy Blues/★★★★★

ジャズ調の雰囲気が印象的なバラードナンバー。兎にも角にもフレディの歌が素晴らしく、声色や強弱を使い分けることによって、1つ1つの言葉のニュアンスを丁寧に表現している印象です。また間奏やエンディングのピアノがお洒落で切ないムードを醸し出している点も良く、ラストに相応しい名曲と言えるでしょう。

 

・作詞作曲:John Deacon 1977年News Of The World収録のSpread Your Wingsより歌詞を引用

・作詞作曲:Brian May 1977年News Of The World収録のIt's Lateより歌詞を引用