【作品概要】
・タイトル:A Night at the Opera(邦題:オペラ座の夜)
・アーティスト:Queen
・リリース年:1975年
・収録曲:12曲/44:11
【総評】★★★★★
Queenの4thアルバム。
前作と同じくバラエティー豊かな曲が並び、飽きがこないような作りになっています。むしろ前作よりメロディーが練られた曲が増えたためパワーアップした印象です。加えて8,11という長尺曲が加わり、特に11が凄まじく音楽史に残る名曲といえるでしょう。クオリティ、芸術性、スケールのどれをとっても高水準でQueenの代表作を1枚選ぶなら、私的には本作になります。
【各曲レビュー】
1:Death On Two Legs (Dedicated To...)/★★★★★
当時のマネージャーへの怒りが込められた曲らしく、おどろおどろしいイントロやフレディの吐き捨てるような歌い回しからも察することができます。曲としては勢い十分で、特にコーラスのみのBメロから力強いサビへの流れが熱いです。
2:Lazing On A Sunday Afternoon/★★★★★
フレディのオペラを想像させる歌い方が印象的な小曲。ピアノやギターも終始軽快な感じで、聴いているこっちまで楽しい気持ちにさせてくれます。
3:I'm In Love With My Car/★★★★☆
全編にわたりロジャーの力強い歌声を堪能できるロックナンバー。前作のTenement Funsterもそうでしたが哀愁を感じさせる曲調+独特のハスキーボイスという組み合わせは相性抜群で外れがありません。
4:You're My Best Friend/★★★★★
ジョン作詞作曲のポップナンバー。終始穏やかでフレディのボーカルもリラックスした感じです。それとジョンが弾いているエレクトリックピアノが素晴らしく、温かい雰囲気を感じさせてくれるのが良いですね。
5:'39/★★★★★
アコギを軸にしたカントリーナンバー。ブライアンの声質も相まって穏やかさの中に懐かしさや切なさが感じられる曲調になっていて、ちょっと泣けます。シンプルに良い曲ですね。
6:Sweet Lady/★★★☆☆
ブライアン作曲のロックナンバー。Aメロが頭を振りたくなるくらいリズミカルなのが良いですね。ただ他はうーんという感じ。例えば終盤の疾走パートとかは格好良いんですけど、長くてフェードアウトなのがいまいち。
7:Seaside Rendezvous/★★★★★
フレディの優雅な歌い回しが印象的なナンバー。全編遊び心に溢れており、間奏で挿入される効果音にはクスッと笑わせられます。2と同じく聴いていて楽しい曲です。アルバムはここから緊迫感のある曲が連続するので、配置的にもベストだと思います。
8:The Prophet's Song/★★★★★
シリアスなムードが漂う8分半の大曲。サビのだんだん熱を帯びていくようなフレディのボーカルが素晴らしいです。また中間の輪唱パートは評価が分かれそうですが、僕は好きですね。多重録音による臨場感が凄まじく聴いていて圧倒されます。
9:Love Of My Life/★★★★★
前曲ラストのアコギの旋律を本曲のピアノが引き継ぐオープニングが見事なバラード曲。ピアノをバックにフレディがファルセットボイスを中心にしっとりと歌い上げています。全体に漂う悲し気な雰囲気もあり、泣けます。
10:Good Company/★★★☆☆
ブライアン作のちょっと不思議なポップナンバー。可愛らしい感じでさらっと聴ける曲ではあるんですけど、結構色々な楽器の音が入っていて実験的な香りがします。個人的にはラストのギターの音が可愛くて好きです。
11:Bohemian Rhapsody/★★★★★
バラード、オペラ、ロックパートが混在する音楽史上に残る傑作曲と言えるでしょう。どのパートも凄まじく語るのが難しいんですが、個人的には冒頭のコーラスの後にくるバラードパートが好きですね。地声、ファルセット、がなり声などを細かく使い分けながら聴き手の感情を煽るフレディの声が素晴らしく、改めて凄いボーカリストだったんだなと思わされます。それとブライアンのギターソロですね。バラード後のソロも良いんですけど、ロックパート後のソロも良いんですよね。滅茶苦茶エモーショナルでそこにフレディが「Uh Yeah...」と合いの手を入れる場面が熱いんですよね。思い入れがある分長くなってしまいましたが、奇跡の名曲と言えるでしょう。
12:God Save The Queen/★★★★★
イギリス国家をアレンジしたインストナンバー。オペラ座の夜を聴き進めて最後にこれがくると終わりを実感しますね。ブライアンの高らかなギターの音色が胸に染みるし、締めのドラムロールが堂々とした感じで格好良いしと最後まで感情を揺さぶられます。ドラマティックな本作の終幕に相応しい曲だと思います。