なんでも音楽レビュー

音楽好きの凡人。アルバムの総評と1曲ごとの感想をメインに書いています。多くの曲を聴いたり書いたりして、隠れた名曲を発掘したい。「ここのメロディ良い!」とか「有名だけど私的には...」みたいな感想をメインに書くので、読んでくれた人が新たに良曲と出会ったり、少しでも共感してくれたら嬉しいなと思います。

【映画レビュー】劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re

 

【作品概要】 

・タイトル:劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re

・製作:CloverWorks

・劇場公開日:2024年6月7日  (金)   

・上映時間:92分

【はじめに】

 2022年に放送されたテレビアニメ「ぼっち・ざ・ろっく」の劇場版が公開されましたので、観に行ってきました。

 この作品を簡単に説明すると、漫画原作の女子高生を主人公にしたバンドものです。ストーリーの良さに加え、妙にリアリティのあるキャラの内面描写、キレのあるギャグなどが魅力の作品なんですが、突出していたのが楽曲の素晴らしさです。バンドサウンドを前面に押し出したキャッチーな楽曲が揃っていて、そのレベルの高さに驚いたのを記憶しています。これらは、オリジナルアルバム「結束バンド」としてリリースされており、僕自身かなり聴きこみました。

 上記のとおり原作漫画、アニメ、曲いずれも好きだったので、劇場版製作の一報を聴いて、すぐに興味を持ちました。劇場版はアニメ全12話を2分割しており、今回公開されたのはその前編となります。さっそくレビューしていきますが、若干のネタバレを含みますので、気になる方はブラウザバックをお願いします。

  

【音響・楽曲について】

 今回、僕が観たのは通常上映ではなく、轟音上映という仕様でした。音響効果をより迫力あるものにするため、スピーカー等が特別仕様になっているようです。価格は、通常上映+200円と安価だったので、迷わず轟音を選びました。いざスクリーンに入ると、前方に巨大なアンプのような物体が2つ置かれており、期待感が高まります。

 前置きが長くなりましたが、実際に味わってみて、凄かったですね。さすがに生演奏の迫力には負けますが、生々しいバンドサウンドを全身で浴びたような感覚でした。特にドラムの打撃音やギターサウンドの厚みがダイレクトに体に伝わってくるのが良かったです。音楽ものは劇場で見るのが良いんだなと思わされましたね。特に8話の見せ場、ギターソロ~「あのバンド」のライブシーンは、釘付けでした。

 またアニメで使われなかった「ひとりぼっち東京」と「ひみつ基地」を挿入歌として聴けたのが、嬉しかったです。劇中未使用曲の中にも名曲がたくさんあるので、それを劇場版で放出したのは、ナイスアイディアだったと思います。

 

【作画について】

 こちらもアニメで見るより、楽しめました。特にギャグパートで、ぼっちちゃんの顔が崩れるシーンが印象的でした。大きいスクリーンで見ると想像以上に表情が崩壊していて、「こんなに凄い顔になっていたんだ!」と改めて実感しました。

 また、edmガンガンかけて踊り狂ってるリョウと虹夏の目が、イっちゃってて思わず吹き出したのと、廣井の幸せスパイラルのシーンですね。小さなpcモニターでは読めなかった説明文が大写しになっていて、それが完全にアル中の思考で笑いました。今まで見落としていた部分も発見できたこともあり、大画面の素晴らしさを実感しました。

 そして忘れちゃいけないのは、演奏のシーンです。迸る汗やメンバー同士のアイコンタクトなどが、スクリーンに明瞭に映し出され、かなりリアルに感じました。さらにアニメと同じシーンでもアングルやカットが異なっていたような気がします。(多分?)そういう面でも、新鮮さがありましたね。

 

【ストーリーについて】

 ここまで良い点ばかり挙げてきましたが、ここからは少し批判的な感想になってしまいます。

 前提として今回使われたのは1~8話までで、少なく見積もっても150分は超えています。それを92分に圧縮しているので、そもそも企画自体が無理筋な点は否めないんですよね。元々、無駄がない構成のアニメ作品だっただけに、色々響いてしまっています。

 具体的には、余白が削られ、ギャグシーンとエモーショナルなシーンが立て続けにくる点です。アニメ版だと緩めの日常パートが挟まり、緩急の役割を果たしていました。それが今回カットされてしまったため、息つく暇が無く、観ていて結構疲れましたね。

 そして、展開に必要な最小限のセリフを残して、枝葉部分がカットされていた点もマイナスです。これによって、アニメで表現されていた細かい感情の動きが分かりにくくなり、全体的にキャラクターの動きが記号的になっちゃってるのも痛いですね。本来エモーショナルなはずのシーンで、あまり感動できなかったのが、残念ですね。

 

【総評】3/★★★☆☆

 上記で細かい点を書いてきましたが、良し悪しがはっきり目立つ作品になったなという印象ですね。

 ストーリー面については、ある程度予想していましたし、仕方がない面もあったと思います。ただ全体的に忙しなく、本来持っていた良さが失われてしまったのは、残念ですね。なので、じっくりと腰を据えて鑑賞するなら、劇場版は向いていないです。

 逆に大筋を知っているなら、楽しめる点も多いです。特に映像とサウンドの素晴らしさは、家で見る時と大違いで、映画館ならではの特徴が活かされていた点は、とても良かったと思います。