なんでも音楽レビュー

音楽好きの凡人。アルバムの総評と1曲ごとの感想をメインに書いています。多くの曲を聴いたり書いたりして、隠れた名曲を発掘したい。「ここのメロディ良い!」とか「有名だけど私的には...」みたいな感想をメインに書くので、読んでくれた人が新たに良曲と出会ったり、少しでも共感してくれたら嬉しいなと思います。

【アルバムレビュー】My song Your song(いきものがかり)

【作品概要】 

・タイトル:My song Your song

・アーティスト:いきものがかり

・リリース年:2008年     

・収録曲:14曲/67:15

【総評】4.4/★★★★☆

 いきものがかりの3rdアルバム。

 まず、発売が前作と同じ2008年と2作連続で1年以内のリリースなのが驚愕ですね。収録時間の多さから考えて、中々のハードワークだったんじゃないでしょうか。逆に言えば、それだけクリエイターとして創作意欲が充実していた時期だったんでしょうね。

 そのため曲のクオリティー的にも前作、前々作に勝るとも劣らない出来栄えです。特に冒頭からの名曲5連発は、見事としか言い表せません。

 また曲のアレンジや歌詞の多様性は、前作と比べてさらに広がったと思います。アレンジ面だと、カッティングが印象的な8、ダークさが垣間見える9と12。そして歌詞の面だと望郷ソング6、細かい描写に拘った7と13、意味不明なのに癖のある11などが、新風を感じます。表現力がぐんぐん伸びている時期を切り取った、名盤と言えるでしょう。

  

【各曲レビュー】

1:プラネタリウム/★★★★★

 タイトル通り、煌めく夜空を題材にしたバラード。元々、夜空の情景に心理描写を絡めるのが得意なイメージがありましたが、本曲だと歌詞に加えて、音を使った表現に磨きがかかった印象です。特にストリングスの効果が大きく、ピアノやギターアルペジオの音色と融合し、美しい音世界を形成しています。イントロの時点で、満点の星空が脳内に浮かびますね。

 

2:気まぐれロマンティック/★★★★★

 バラード系は人によりそうですけど、疾走系で1番人気の曲じゃないでしょうか。当然、完成度は高いんですが、僕的にはボーカルの感情表現が特に素晴らしいと思います。とにかく楽しそうで、収録前に何か良いことがあったんじゃないかと思えるほど、ウキウキした感じが伝わってきます。気分を上げたい時は、この曲がピッタリです。

 

3:ブルーバード/★★★★★

 ナルトの主題歌で、孤独と力強さを感じる名曲です。まずイントロのハーモニカが寂寥感を漂わせていて、孤独を象徴していると思います。それと歌詞と歌の存在感。特に「この羽根を広げ 飛び立つ」、「戻らないと言っ」の青字部分の音圧が凄い!過酷な環境をものともせず、突き進んでいくようなイメージが自然と湧きます。

 

4:スパイス・マジック/★★★★★

 アコギとキーボードを活かしたイントロが心地良く、ポップスの王道的な名曲なんですが、それ以上にBメロからサビに移る際の場面転換が見事です。1st収録「君と歩いた季節」のように穏やかに展開していくんですが、、サビでいきなり切ない哀メロに切り替わるんですよね。ここを初めて聴いた時の衝撃は、かなり大きかったです。

 

5:かげぼうし/★★★★★

 A~Bメロと徐々にシリアスさを増していき、サビで頂点に達する構成が見事なバラード。キーの設定も絶妙で、吉岡の強く澄んだ歌声を引き出しています。特に「そんなこと考え」の伸びやかなロングトーンが気持ち良く、切ないサビメロを際立たせています。

 

6:帰りたくなったよ/★★★☆☆

 故郷への想いを歌った長尺のバラード。シングルにもなっていて、比較的評価が高い曲なんですけど、個人的には、あまりピンとこなかったかな...おそらく僕の人生経験が乏しくて、歌詞に入り込めなかったのが原因かな...全然悪い曲ではないので、何年後かに聴いたら、また違った感想が出てきそうです。

 

7:message/★★★☆☆

 生活感を感じる歌詞や軽快なテンポなど前作収録「@miso soup」を彷彿とさせる曲です。恋愛をテーマに心情を具体的に描写した歌詞が特徴的です。僕的には、その歌詞が好みと合わないなというのが正直な感想...ただ、曲が持つカラッと明るい感じは好きですし、アルバム内の配置も的確だと思います。

 

8:Happy Smile Again/★★★★★

 またしても良質な王道ポップソングがきました。彼ら特有の柔らかいアレンジに混ざって、チャカチャカと鳴っているギターが特徴的です。曲の雰囲気を形作るのはもちろんですが、独立して存在を主張している感じともとれ、比較的ファンキーに聴こえます。こういった若干の尖りが、新鮮味を出していて良いと思います。

 

9:くちづけ/★★★★☆

 題名のイメージ通りバラードなんですが、かなりクールな曲ですね。まずベースソロに切り裂くようなギターリフが被さるイントロからして普通のバラードとは違います。ややメロディーが弱いですが、硬派な雰囲気で聴き手を飲み込むような、力のある曲だと思います。

 

10:僕はここにいる/★★★★☆

 前曲とは対照的な柔らかい雰囲気のバラード。要所でツボを押さえたボーカルが素晴らしく、特に「愛があるから人は生きれるというよ」、「ふれあうこと繋がること 君だから嬉しい」の青字部分がGood。シンプルなメロディーラインの中でも、力強い高音が使われていて、心の琴線にしっかり届いています。ボーカルの力量が如実に表れた曲だと思います。

 

11:プギウギ/★★★★★

 本作における変わり種枠です。最初は良さが全く分からず、★2くらいかなと思っていました。ただ中毒性が高く、気づいたら「プーギウーギ」と繰り返えす摩訶不思議なメロディーが頭から離れなくなります笑。また前作収録「東京猿物語」にも共通しているんですが、意外とポップなんですよね。いやーこういう曲を作れるのも才能なんでしょうか。

 

12:幻/★★★★★

 悲しげなピアノの音色が印象的なバラード。憂いのあるマイナー調のメロディーは、バラードを通り越して演歌に近いかもしれません。ボーカルも1音1音拘って感情の揺らぎを表現していて、声色の変化を追いながら聴くと味わい深さが増します。僕的には、こういう湿ったバラードは大好物なので、当然の★5です。

 

13:心の花を咲かせよう/★★★★☆

 旅立ちをテーマにしたバラード。ストリングスを導入したよくあるJ POPといった様相で、シンプルな反面、歌詞に拘りを感じます。自分の選択に対する、自問自答や迷いの心情が、繰り返し描写されています。おそらく上記のアレンジは、歌詞に集中してもらうための工夫じゃないでしょうか。歌い方も相まって、卒業式の答辞を思わせる曲だなと思います。

 

14:帰りたくなったよ -acoustic version-/★★★☆☆

 題名通り、6の別バージョンです。レビューに関しては、上記で書いたものと同じですので、割愛します。ただ歌をしっかり味わうなら、シンプルなこちらのバージョンのほうがお勧めです。

 

・作詞作曲:水野良樹 2008年My song Your song収録のブルーバードより歌詞を引用

・作詞作曲:山下穂尊 2008年My song Your song収録のかげぼうしより歌詞を引用

・作詞作曲:吉岡 聖恵 2008年My song Your song収録の僕はここにいるより歌詞を引用