なんでも音楽レビュー

音楽好きの凡人。アルバムの総評と1曲ごとの感想をメインに書いています。多くの曲を聴いたり書いたりして、隠れた名曲を発掘したい。「ここのメロディ良い!」とか「有名だけど私的には...」みたいな感想をメインに書くので、読んでくれた人が新たに良曲と出会ったり、少しでも共感してくれたら嬉しいなと思います。

【アルバムレビュー】ライフアルバム(いきものがかり)

【作品概要】 

・タイトル:ライフアルバム

・アーティスト:いきものがかり

・リリース年:2008年     

・収録曲:13曲/64:54

 

【総評】4.3/★★★★☆

 いきものがかりの2ndアルバム。

 前作から僅か1年弱でリリースされました。インディーズ時代の曲のリアレンジ版を含んでいるとはいえ、かなりハイペースでの製作だと思います。それでもって肝心の出来栄えですが、1~4、6、7、12など王道ポップソングの見本市と化しています。好みの部分を除けば、全てシングルカット可能な品質だと思います。

 また、5、8、9などアルバムの箸休め的な位置にいる小曲の完成度が高いですね。じっくり聴く程、各曲の個性が分かってきて、味わい深いです。それと忘れてはいけないのは、11。これは1stアルバムには無いタイプの曲で、作風の広がりを感じます。

 前作とがっぷり乙の作品だと思いますが、個人的には濃淡のメリハリがついた本作のほうが好みですね。

  

【各曲レビュー】

1:Good Morning/★★★★★

 初めてタイトルを目にした時は、長閑な曲を想像しましたが、荒々しさを孕んだバラードでした。特にサビの頭は、5音のメロディーを繰り返しているだけなのに、とても哀愁が滲み出ています。魔法がかかったような、素晴らしいメロディーラインだと思います。また、随所で入るギターの生々しさが印象的で、アルバムの掴みとしても抜群です。

 

2:茜色の約束/★★★★★

 いきものがかりを代表するバラードにして、最も歌唱難易度が高い曲だと思います。具体的には、①サビでそこそこの高音が続き、逃げ場がない②地声感をキープするタイプの発声が要求される③間奏が無いうえにCメロ→ラスサビ×2という鬼の構成の3点です。毎回聴く度に、すげーなと思います。

 その中で「泣いて 笑って つないだこの手は」と「 重ねた言葉に負けない 約」の色付き部分がポイント。同じメロディーですが、前者は柔らかく明るい発声、後者は勢いのまま押し切る発声と使い分けています。こういう一捻りが、曲の完成度を左右するんでしょうね。ボーカル吉岡の力量が表れた一曲。

 

3:夏空グラフィティ/★★★★★

 疾走感溢れる青春ソング。開始後いきなりのサビでKOして、勢いのあるギターのフレーズが入ってきた瞬間、もう名曲だと確信しました。吉岡の歌い方も良くて、限りなく澄んだ少女のような声質が素晴らしいです。(特にBメロのところが好き!)勢いだけじゃなく、懐かさみたいなものが感じられるのが良いですね。

 

4:青春ライン/★★★★★

 1stアルバムの「青春のとびら」と、タイトルがごっちゃになりやすい曲。青春を題材にしていて、前曲とテーマが似ています。ただ聴かせ方は全く違っていて、あえてテンポを落として、内に秘めた想いを表現している感じですね。爽やかさmaxの「夏空グラフィティ」と異なり、アダルトな雰囲気があって、こちらも好きです。

 

5:@miso soup/★★★★☆

 軽やかさを重視したポップソング。ここまでメロディーラインがかっちりした正統派が並んでいたぶん、箸休めにぴったりで、良いポジションに収まった曲だと思います。エレキの音を味付け程度に留めて、ピアノの軽快なメロディーをバックに進行する音作りがgood。良い意味でサラッと聴き流せる曲ですね。

 

6:ソプラノ/★★★★★

 スローテンポのバラードで、1st収録「タユムコトナキナガレノナカデ」の進化系といった感じです。サビでのゆったりと展開していくメロディーが見事で、ボーカルも真っすぐ丁寧な歌に徹しているのが素晴らしいです。派手さはありませんが、じっくりと感情に訴えかけてくる曲だと思います。

 

7:花は桜 君は美し/★★★☆☆

 桜をテーマにした曲ですが、高貴な雰囲気が漂う独特の仕上がりです。1stアルバム収録「うるわしきひと」をさらに硬派にしたような曲だと思います。僕的には気品がありすぎて、好みからは若干外れますが、良い曲なのは間違いないですね。

 

8:ちこくしちゃうよ/★★★★★

 バンドサウンドが活かされた、シンプルイズベストという言葉が似合う一曲。歌メロもギターもとてもシンプルなんですけど、上手く纏まっていて、自然と耳に入ってくるのが良いですね。あと地味なんですけど、ドラムとギターが「ジャ・ジャ・ジャ」とユニゾンするパートがお気に入りです。

 

9:心一つあるがまま/★★★★★

  爽やかなアコギにのせて歌われるバラード。時折入る、キーボードのほんわかした効果音が柔らかい雰囲気を醸し出しています。また開放的なサビの高音を、余裕をもって歌うボーカルが見事で、全編安心して聴けますね。派手な曲に隠れてしまっていますが、本作で一番出来が良いんじゃないでしょうか。

 

10:ニセモノ/★★★☆☆

 イントロから怪しげな雰囲気が漂っていて、前作収録の「ヒナゲシ」と同枠の曲ですね。何というか疲れ果てた主人公が、虚しさをテーマに歌っている感じですね。悪い曲ではありませんが、ややインパクト不足かな...

 

11:東京猿物語/★★★★★

 最初にタイトルを見て、思わず二度見した曲。なんだこれ!と思いつつ聴いてみて、まず頭に浮かんだのは、江戸のお祭り?でした。吉岡の独特の節回しや、「セイヤッ ハッ」という掛け声が入っていたりと癖強なんですが、サビは意外とポップ。初聴後しばらくは苦手でしたが、徐々に良さが分かってきて、気づいたらアルバムの中でもお気に入りになってた不思議な曲です。

 

12:月とあたしと冷蔵庫/★★★☆☆

 6と同じく、スローテンポなバラード。泣きを発散するサビメロがベタベタ過ぎてて、初めて聴いた時は、凄く印象に残りましたね。構成自体もサビを主体にしていて、アウトロ等でもハーモニカーがこのメロディーを奏でています。ただ個人的にハマって何度も聴いているうちに、くどく感じるようになったので★3としています。(良い曲なので、しばらく時間をおいて聞いたら評価が変わるかも)

 

13:茜色の約束 -acoustic version-/★★★☆☆

 題名通り、2のアコースティックver。アレンジ的には、オリジナルのほうが好きですが、こちらも悪くないです。シンプルなアレンジで、さらっと聴けます。

 

・作詞作曲:水野良樹 2008年ライフアルバム収録の茜色の約束より歌詞を引用