なんでも音楽レビュー

音楽好きの凡人。アルバムの総評と1曲ごとの感想をメインに書いています。多くの曲を聴いたり書いたりして、隠れた名曲を発掘したい。「ここのメロディ良い!」とか「有名だけど私的には...」みたいな感想をメインに書くので、読んでくれた人が新たに良曲と出会ったり、少しでも共感してくれたら嬉しいなと思います。

【アルバムレビュー】Made in Heaven

【作品概要】 

・タイトル:Made in Heaven

・アーティスト:Queen  

・リリース年:1995年     

・収録曲:13曲/70:21

 

【総評】★★★☆☆

 Queenの15thアルバム。

 フレディ死去後、残されたデモ音源や没曲、各メンバーのソロ曲をアレンジして製作された最後のオリジナルアルバム。全体を通してブライアンの透明感溢れるギターフレーズが素晴らしく、幻想的な雰囲気が漂っています。個人的にはこの空気感が好きで、すぐに本作を気に入りました。

 各曲の完成度も総じて高く、中でも神秘的な空気を醸し出す2,10については、人生で一度は聴くべき名曲と言えるでしょう。

 唯一の不満点は11,12,13が蛇足となっている点で、できれば10で有終の美を飾って欲しかったかな...ただ上記の不満を除けば、過去の名盤と比べても遜色ない完成度だと思うので、Innuendoまでしか聴いたことがない人は、ぜひ聴いてほしい作品です。

 

【各曲レビュー】

1:It's A Beautiful Day/★★★★☆

1980年The Game製作に伴うセッションが元となったナンバー。ピアノと鳥の囀りが印象的なイントロから「It's a beautiful day~」と歌われる部分の高揚感が良いですね。前作Innuendoから一転して、生命力溢れる力強いボーカルに引き込まれます。

 

2:Made in Heaven/★★★★★

フレディのソロ曲をQueenで再度アレンジしたナンバー。初期の繊細さと後期の力強さを併せ持ったボーカル+全体を彩る美しいギターが絶品です。曲から漂うオーラも只ならぬもので、神や天といった人智を超えた神々しい雰囲気が感じられます。個人的には、シンプルなソロverよりも壮大なQueen版のほうが好みです。

 

3:Let Me Live/★★★★☆

1983年頃に録音されたフレディ、ロジャー、ブライアンが交互にボーカルをとったナンバー。ゴスペル調のコーラスが導入され、ドラマチックな仕上がりになっています。豪華な印象ですが、泣きのギターソロやエンディングの哀し気なピアノなど随所で切なさを感じます。

 

4:Mother Love/★★★☆☆

フレディ最期の歌唱となったダークなバラード曲。合間で聴かれる「ah..」という苦しげな声が晩年のフレディの様子を如実に表しているようで、かなり生々しいです。1曲を通して感じられる、重苦しい雰囲気が印象的です。

 

5:My Life Has Been Saved/★★★★☆

初出は1989年のシングルScandalのB面で、再アレンジして本作に収録されたバラード。中音域を主体にした温かみのある歌唱に加え、繊細でゆとりをもったギターが心地良いです。単体だとあっさりしすぎな感がありますが、前曲とあわせて暗から明への流れが作られており、アルバム曲として機能している印象です。

 

6:I Was Born To Love You/★★★★★

2と同様、フレディのソロ曲を再構築したナンバー。元々フレディの熱唱が光る良曲ですが、何といっても本作で加わったブライアンのギターソロが素晴らしいです。泣きを発散しつつ疾走するパートから、緊迫感漂う速弾きに移行する2段構えのギターソロが完璧で、オリジナルからさらにレベルアップした印象です。Queenを代表するロックアンセムと言えるでしょう。

 

7:Heaven for Everyone/★★★★☆

元はロジャーのソロ活動時に完成したものにゲストでフレディが歌を入れた曲で、本作収録に合わせて再録されています。朧げな「This could be heaven~」というコーラスや要所に散りばめられたツリーチャイムの効果音もあってか、幻想的な感じがします。また前述の穏やかなパートのみならずドラマチックに盛り上がるパートもあり、しっかり構成が練られている印象です。

 

8:Too Much Love Will Kill You/★★★★☆

1989年The Miracle製作時に録音されたバラード。ピアノを中心とした柔らかいアレンジですが、ボーカルは張り上げるような強引な歌い方をしています。これが意外とマッチしていて、本曲を含めアルバム全体に漂う神秘的な雰囲気と80年代後期のパワフルさが、違和感なく同居しているのが印象的です。

 

9:You Don't Fool Me/★★☆☆☆

残されたフレディの断片的なボーカルパートを継ぎ接ぎして作られたナンバー。制作事情的に仕方ない面もありますが、歌メロが弱く印象は薄いです。長めのギターソロを入れるなどの工夫も見られますが、トータル5分半を持たすのは厳しかったかな...

 

10:A Winter's Tale/★★★★★

4と共に最晩年に録音されたバラード。フレディが単独で作った最後の曲だと言われています。幻想的な情景描写、ヴァイオリンの音色を想起させるようなギターソロ等、美しさを極めたような曲で、Queenのバラードでも最上位の出来だと思います。もはやThe Show Must Go Onのような鬼気迫るような雰囲気は無く、全てを受け入れたような印象があり、死期が迫っていたからこそ作れたと思えます。これほど混じりっ気のない美しさを感じられる曲は他に無く、個人的に冬になると聴き返したくなる名曲です。

 

11:It's A Beautiful Day(reprise)/★★☆☆☆

1の別ヴァージョンでテンポが速くなっています。良し悪しは置いておいて、あまり必要性を感じないかな...

 

12:Yeah/★☆☆☆☆ 

隠しトラック。「Yeah」の一言で終わる4秒しかない13への繋ぎ曲。

 

13:TRACK 13/★☆☆☆☆

12から引き続き、隠しトラック。特段展開が無く、トータル22分もあり、個人的には蛇足かな...

 

・作詞作曲:Queen 1995年Made in Heaven収録のIt's A Beautiful Day、Heaven for Everyoneより歌詞を引用